ちょっと古い映画

最近の映画はあまり見ませんが、1990年代前後の洋画は好きです。
ダイハード、ミッションインポシブルのような、見終わって「あ~おもしろかった」と言えるものがお気に入りです。

「まだなにも終わっちゃいない。これからがほんとうの勝負だ」

CSI;NY の主役ゲイリー・シニーズつながりで
映画「身代金」

海外ドラマや洋画の楽しみのひとつに、
字幕や吹き替えの翻訳と英語原文の照合があります。

吹き替えは
俳優さんのイメージがガラッと変わってしまい好きではないので、
たいていは
日本語の字幕をみながら英語で聞きます。

うまい!すごい!
って思う字幕翻訳や吹き替え翻訳に出会ったときの心地よさは何ともいえません。

身代金の
This thing is not over. I swear to you right now, now, more than ever. 

これを、松浦美奈さんが
字幕翻訳で
「まだ終わっちゃいない。これからが本番だ。真剣勝負が始まる。」
吹き替え翻訳で
「まだなにも終わっちゃいない これからがほんとうの勝負だ」
と訳されています.

うまい!と思います。

字幕翻訳は一度に読める文字の量
吹き替え翻訳は俳優さんの口の動き
という制約条件のもとで
原文の意味を変えないように
翻訳しなくてはなりません。

この限られた条件の中で
上手な訳をされるのは神技に近い
言葉の力が必要です。

翻訳って
英語の理解が完璧で、日本語表現が完璧でも、
それだけでは単なるコンピュータにすぎません。
インターネットの自動翻訳みたいで、おもしろみがありません。
原文を大きく外れない限り(ときには外れても)、
物語の前後関係から
じょうずに意訳してあるものが好きです。

洋画や海外ドラマは
ドラマ自身を見る楽しみと
翻訳を原文と照らし合わせる楽しみがあるので
1本のドラマで2回楽しめる
ぜいたくな感じがします。



で、「身代金」

映画のおもしろさは
秀逸な脚本と、絶妙な配役がつくりだすといいます。
この映画は
秀逸な脚本、絶妙な配役ともに申しぶんない上に
ロン・ハワード監督の演出が絶品です。

最初のメルギブソン(1代で築いた中堅エアライン社長)家の豪邸で開かれている
華やかなパーティーの陰で
着々と進められていく息子の誘拐計画の見せ方

屋外で実施されていた発明展で
いつの間にか息子がいなくなり
息子の操縦していた模型飛行物体?が、
操縦者がいなくなったため
あてどなく空中をさまよい壁に激突するシーン

誰でも考えつきそうな演出ですが
仕上がりのレベルがどこか違います。
1段上質です。

最初から最後まで
「ヤルナっ」と思う演出が続きます。
登場人物の心を映し出すカメラワークもお見事ですし
音楽も画面と一体となって不安感を醸し出します。

途中二転三転し
あっと驚く展開があり
見始めると、間違いなく最後まで見てしまいます。

また俳優さんも芸達者な方がそろっています。
主役のメル・ギブソン
悪徳警官役で完全に主役を喰ってしまったゲイリー・シニーズ
メル・ギブソンの奥さんを演じるレネ・ルッソ

そしてけっこうお気に入りなのが
FBI捜査官のデルロイ・リンド。
弱気と強気が交錯する父親と母親の間で
誘拐された子どもを取り戻そうと
ちょっと不運な捜査官を演じています。

父親からは、自らが犯したFBIが別件で追っている事件の告白をされたり
母親からは、誘拐事件の解決率をたずねられ、ちょっと間抜けな答えをしたり
「自分は金持ちでなくてよかった」という電話を自宅の妻にかけているのを父親に聞かれたり
なんで俺はこんなに運が。。。。という役割をシブく演じています。

誘拐犯からかかってきた電話に出るために
メルギブソンとデルロイリンドがあわてて2階にかけあがり、
デルロイがメルに電話を手渡すシーンの
カメラワークはお見事。

PS

CSI:NYを見ながら
間に入れて
この映画を見るのがお勧めです。

ゲイリー・シニーズが
CSIのチーフと、悪徳警官と立場は違うものの
同じニューヨークPDの警官役なので
二重人格か、と思えて
頭が混乱し
楽しめます。

1996年の映画ですから
20年前になります。
どなたかがブログで書かれてましたけど
ゲイリー・シニーズは「経年劣化がほとんどない」
俳優さんですね。
セラウォードさんが上手に歳を重ねられたのとは対象的に。

「おもしろいな、鎖に脚がついていない」

CSI;NY のセラ・ウォードさんつながりで
映画「逃亡者」

映画の最初に画面いっぱいに
HARRISON FORD と大きく出ますが 
誰もが言うように
主役はトミーリージョーンズですね。

大都会の夜景を上空から撮ったものに
妻が殺害される場面をフラッシュバックで織り込む
という、刑事ものでおきまりの
でもよくできているシーンから始まります。
(音楽がよい感じです)

護送途中で脱走に絡む事故があり
護送を担当していた警官が
「囚人は全員死んだろう」
と言いいますが
連邦保安官ジェラード(トミーリージョーンズ)は
「念のために検問を」と主張
地元警察が
「囚人はみんな死んだんだ。
そんなことをしたら警察に苦情が殺到する」
と言ったとき
ジェラードの部下が
囚人の足かせを見つけて持ってくる。
そのときのジェラードの台詞

we are always fascinated
when we find leg irons with no legs in them.

直訳だと
「私たちは、足が入っていない足かせをみつけたとき、いつもうっとりする」
というような感じでしょうか。

これを
「おもしろいな、鎖に脚がついていない」
と字幕翻訳された菊地浩司さん。すごすぎます。

全体的に
スピードと緊張感のあるシーンが続きます。
(特に最初の1時間が最高)
後半、ちょっともさもさする部分もありますが
トミーリージョーンズにひきこまれて
つい見続けてしまいます。

セラ・ウォードさんは
キンブル医師(ハリソンフォード)の殺された妻役です。
みずみずしく美しい。

CSI:NYのセラ・ウォードさんは
「逃亡者」の18年後なのに。。。。。
信じられません。

上手に歳を重ねられた感じです。

PS

子どもの頃、デビッドジャンセンのテレビ版を
白黒テレビで見ていた記憶があります。
「私は逃亡者」だったかそんなモノローグで始まったような。
確か、ムツゴロウ(睦五郎)さんの吹き替えが人気でした。